当たり前のことが当たり前にできる経営
家を買うのは簡単だが、買った家を修繕し続けることは難しい。
特に小さな修繕になると、大手リフォーム会社はまず引き受けない。なぜなら人件費(営業、現場監督、職人)と材料費を見積もれば、間違いなく赤字になるからだ。
そんななか、神奈川県にあるリフォーム会社「さくら住宅」は、依頼件数の43%が小口工事であるにも関わらず、18年連続の黒字経営を達成している。
仕事を選ばない
さくら住宅では、採算がとれるかどうかよりも、いかに迅速に手間を惜しまず対応するかを重要視している。そのため、お客様が困っているのであれば、小口工事も引き受ける。
小口工事は依頼件数の43%を占めるが、売上で見るとわずか2%に過ぎない。一方、大口工事は売上の98%を占めている。
小さな仕事をキチンとやることが、次の大きな仕事につながっているのだ。
営業しない
さくら住宅では、営業トークをしない。こちらから売り込むことは、押し売りと同じであるという考えからだ。
社長の二宮生憲氏によれば「本当に必要ならば、お客様の方からお願いするはず」とのこと。
値下げしない
値引きをすると、大工さんや電気屋さんの手間代を下げることになる。手間代が下がれば当然、手抜き工事になる。
工事の品質を確保し、人件費をキチンと支払うためにも、さくら住宅は値下げをしない。値下げを要求してくる方には、他のリフォーム会社で依頼することを勧めるという。
信頼を売る会社
さくら住宅が売るのは「修繕工事」ではなく「信頼」だ。そのため3つのしないこと(仕事を選ばない・営業しない・値引きしない)を戦略にしている。
また会社から30分圏内を市場とする地域密着型で、お客様との関係性を高めている。
消費者の立場になって考えてみればどれも当たり前のことだが、それに気づき実践している点が素晴らしい。
松下幸之助「雨が降れば傘をさす」
雨が降れば傘をさすような、ごく当たり前のことを着実に実践していくところに発展の秘訣があるのだ。
決して私心にとらわれてはならない。
年商:8億6000万円
従業員:45人(パート含む)
参考:カンブリア宮殿