社是を作った話
社員が増えたので、社是を作ってみた。
社是は「困っている人を助ける」とし、額に入れて、よく目につく場所に飾ってある。
今まで社長(つまりぼく)の頭の中にだけあった考え方だが、言葉にすることで社員と共有することが目的だ。
なぜ経営理念や社訓ではないのか?
経営理念、社是、社訓の違い
社是や社訓、経営理念はどれも似ているが、次のような違いがある。
■経営理念
こうあるべきだという根本の考え。経営者や株主向け。
(例)地球上で最もお客様を大切にする企業であること
■社是
会社が正しいとする価値観。社内向け。
(例)人として正しいことをする
■社訓
会社で守るべきルール。社内向け。
(例)会社では倹約すべし
今回は、会社が判断基準を提示する目的だったので、社是を選んだ。
社是がうまく浸透すれば、社員はこの価値観を軸に、自分で判断できるようになるはず。
社是に何を書くか?
世の中にある経営理念や社是は、おおよそ次の3つを言及している。
■人間性の追求
顧客や社員を幸せにすること。
■社会性の追求
人類や社会に役立つこと。
■経済性の追求
進歩発展に貢献すること。
本当はすべて社是に書き込みたいのだが、複雑になり浸透しないのでは意味がない。
また四字熟語にすることも考えたが、いちいち意味を説明するのも面倒なので、小学生でも分かる簡単な一文にした。
それは「困っている人を助ける」である。
作っただけでは意味がない
いくら社是を作って額に入れたとしても、社内に浸透しなければ無意味だ。
毎朝、社員に唱和させる会社もあるが、社員に判断を求められた時が最大の教育チャンスだろう。
例えば、同じ商品を2重に注文してしまったお客様がいたとする。
特商法上は、お客様都合による返品はできないと明記されているが、「困っている人を助ける」という観点から考えると、1つを返品に応じるのが正しい判断となる。
このように社是の内容と社員の行動が言行一致している必要があるし、繰り返すことでいずれ企業風土となる。