お金儲けをしようとすればするほど貧しくなる話
先日、飲んでいる時に知り合いの経営者の話が出た。資金繰りに苦労しているようで、そのストレスからか、髪が薄くなっているとのことだった。
彼と最後に会ったのは4年くらい前だったと思う。当時はホームヘルパー事業を立ち上げたばかりで意気揚々としていた。
事業の話を聞くと「介護業界は国からの給付が厚いうえに働き手を安く使って上が儲かる仕組みだから参入した」とのこと。
要するに理念はないけど儲かるから始めたらしい。しかし現状お金に困っている。
そもそも介護という業界は、社会が必要としているにも関わらず採算が取れないので介護報酬が出る仕組みだ。だから自分たちで売上をコントロールしにくく、国に依存することになる。
それにサービス業という性質上、人を雇うことは必須であり、どうしても固定費が増加してしまう。また離職率が高いので求人と教育のコストが他業種より掛かる。
以上のようなリスクのなか、売上が落ちて資金繰りに困る経営者は「貧すれば鈍する」状態に陥りやすい。24時間いつもいつも金策のことばかり考えてしまって、事業のことに頭がいかないのだ。
事業を良くしようと思わなければ当然、売上は落ちていき、そのことがまた金策に走らせる。まさに悪循環。
こんな状況になると、経営者は2通りの行動を取ることが多い。
ひとつは徹底的に経費を削減して投資を抑え、ジリ貧状態になるケース。もう一つはちょっとした儲け話にすぐ食いついたり、最悪、人を騙してでもお金を儲けようとするケースだ。
事業を立て直すには、市場のニーズと会計(収益と費用)を見直すことが第一だと思うけど、そもそも彼には理念がないのでそれも難しいかも知れない。
「お金が目当てで会社を始めて成功させた人を見たことがない」。そうスティーブ・ジョブスも言っている。