顧客から始めよ
ファンケルを創業した池森氏の話。
池森氏は、日本初の無添加化粧品を作り、日本にサプリメントを広めた人物だ。それらの商品は大ヒットし、年商1000億円の企業を作り上げた。
2003年、池森氏が65歳の時に退任すると、売上がみるみる減少し、ついには800億円まで業績が低迷した。
そこで池森氏は経営を立て直すため、75歳の時に再登板した。池森氏が店舗を徹底的に視察した結果、次の改革を行った。
・直営店を増やして、お客様の生の声を集められるようにした
・お客様から分かりにくいとの声が多かった化粧品のパッケージを、色別にして分かりやすくした
・知識のないお客様に、どのサプリが合うのか教えてあげるようにした
・販売スタッフの給料を最大2万円上げて、モチベーションを高めた
・社員の教育機関を作り、スタッフのスキルを高めた
・研究開発費を増やして、商品の開発力を高めた
結果、ファンケルの売上は1200億円を突破するまでになった。池森氏と前経営者との間には、どのような分水嶺があったのか?
池森氏によれば、「(前経営者は)ファンケルのことをよく理解できないまま、改革に進んでしまった。それはお客様が本当に求めていたものではなかった」。
ファンケルの創業理念は、一貫して「不の解消(不安を安心に、不満を満足に、不便を便利に)」であり、池森氏の改革もこの理念に沿ったものだった。
かのドラッカーも、同じ趣旨のことを述べている。
企業と使命と目的を定義するとき、出発点は一つしかない。
顧客である。顧客を満足させることが、企業の使命であり目的である。