値上がり時代の経営
この1年を振り返ると、まさに値上がりの1年だった。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、原材料価格が高騰したことが原因だ。加えて円安の影響もある。
具体的には紙や段ボールなどの資材、電気代、配送料、事業ごみの処分料が値上げされた。特に段ボールに至っては、27%も値上がりした。
値上がりしたからといって、安易に価格転嫁したくない。人件費を削ることもしたくない。それらは企業理念に反するからだ。
そこで企業努力として、次の3つを実施した。
値上がり時代の経営施策
1)価格を比較して、同質でより安いものに置き換えた。これにより段ボールは1取引あたり8,000円ほど安くできた。
安いものに置き換える際は、お客様に不便を与えるものでないかに注意した。例え安くても、質が悪くなるのであれば採用を見送った。
2)なるべくまとめ買いして、単価を抑えた。ボリュームディスカウントと呼ばれるが、まとめて注文すると単価が安くなる上に、送料無料ラインを超えやすくなるメリットもあった。
3)動線を見直す、物の置き場所を見直す、プログラムで自動化するなどして、生産性を高めた。
経営者みずからが生産性の向上に動いていると、社員さんやアルバイトさんからも自然といろんなアイデアが出た。そうした企業文化を作れたことが、何より嬉しかった。
どのような企業を目指すか
テレビでカンブリア宮殿を見ていたら、岩塚製菓が紹介されていた。
岩塚製菓は業界3位の米菓メーカーなのだが、日本の伝統菓子を守るために国産米100%にこだわっているのだという。国産米しか使わないのだから、当然コストがかかる。
インタビュアーの村上龍が「本当に儲からないんですか?」と質問すると、岩塚製菓の社長は「儲からないですね」とニッコリ。続けて「儲からないが、米菓そのものの価値をきちんと守る」。素敵だなと思った。
岩塚製菓を見て、業界1位や利益増大を目指すのではなく、お客様に貢献できる会社を目指したいと改めて決心した。