顧客と企業はトレードオンの関係を目指すべき

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ドラッカーによれば、「企業は利益を得るための組織ではない」という。また「企業の目的は顧客の創造だ」とも述べている。

つまり企業とは、製品やサービスを通じて顧客に貢献していく組織なのだと考えられる。

そうなると当然、顧客満足(CS)を高めていきたいと思うのは自然な流れだろう。

実はここに落とし穴があった。

顧客満足と企業コストはトレードオフの関係にある

トレードオフとは、あちらを立てればこちらが立たずの状態だ。

すべての顧客ニーズを満たそうとすれば、企業コストは跳ね上がる。一方で、企業の都合を優先すれば、顧客にとって良いことはない。

自分も会社をはじめた頃、顧客を第一に優先すべく、ずいぶん勇ましいことを言っていた。

例えば商品の返品制度。

12枚入のうち3枚まで試用して良いこととし、もし気に入らなければ商品を送り返して頂く。商品が返送されたら代金を返金する仕組みだ。

結果、商品を4枚以上使って返品してくる人や、汚したり折り曲げて返品してくる人、返品期限を守らない人、何度も注文しては返品してくる人などが続出した。

返品希望者を管理するのも大変だったし、返金するための振込手数料もバカにならなかった。

そして、コンビニ後払いでも痛い思いをした。

コンビニ後払いは、商品と請求書を同封して送り、商品を受け取ったあと近くのコンビニで代金を支払ってもらう仕組みのことだ。

後払いであるから、キチンと期日までに支払われれば良いが、未払いの場合は自社で取り立てる必要がある。催促の電話は、かける側も気分の良いものではない。

そもそも電話をかけても出ないことが多い。まれに電話に出て「×日までに払います」と約束しても、守られることはない。督促状を送っても無視される。

また最初から商品をだまし取ろうとする、悪質な消費者まで呼び寄せる結果となった。

こうした請求書や督促状の郵便代金、電話の通話料、取り立ての手間などを考えると、企業のコスト負担は無視できない大きさになっていった。

これからはトレードオンの関係を目指したい

トレードオンは、顧客と企業の双方にとって都合が良い状態のことだ。

先の返品の件でいえば、原則として返品不可とし、お試しセットを作ることで色味や質感を確認できるようにした。

ただし、二重注文や色間違えについては返品を受け入れている。

またコンビニ後払いについては業者に委託し、請求書の発送や催促などの作業を外注することで解決した。

やはり返品や後払いは顧客にとって便利なサービスなので、すぐに廃止せず、形を変えてでも続けていきたい。

他にもいろいろな課題がある。しかし試行錯誤を続けていき、顧客とのトレードオンを目指していく。

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