ドラッカー流マーケティングの本質
ドラッカーが考えるマーケティングの理想とは、販売活動に力を注がなくても商品やサービスが自然に選ばれる状態をつくることである。
そのためには、顧客を深く理解し、顧客の期待や課題にぴったり合った製品やサービスを提供する必要がある。
ドラッカーにとってマーケティングとは、単に売るための技術や手法ではなく、顧客を起点に価値を生み出すための、企業全体に関わる経営活動そのものである。
① 顧客から出発する
ドラッカーは一貫して「事業の目的は、顧客の創造である」と述べている。つまり企業活動の出発点は、作り手の都合や「何を作りたいか」という発想ではない。
誰を顧客とするのか、その顧客は何に価値を感じ、何を求めているのか――そこからすべてを考え、事業やマーケティングを組み立てていくことが重要である、という考え方である。
② 商品開発・価格・流通・組織まで含む
ドラッカーの考えるマーケティングは、広告や宣伝を担う一部の部門の仕事にとどまらない。
商品やサービスの設計をはじめ、品質や使いやすさ、価格設定、流通や入手のしやすさ、さらにはアフターサービスや企業としての姿勢・信頼性まで、すべてがマーケティングに含まれる。
すなわち、企業のあらゆる活動が顧客にどのような価値を届けているかという視点で結びついており、会社全体そのものがマーケティングである、という考え方である。
③「売らなくても売れる」状態をつくる
ドラッカーの言う「売らなくても売れる状態」とは、強引な営業や値引きに頼らずとも、商品やサービスそのものが顧客の心に自然と響き、「欲しい」と感じさせる状態を指す。
優れたマーケティングが実現されていれば、売り手が懸命に説明したり説得したりしなくても、価値は自ずと伝わる。
すなわち、顧客の課題や期待を深く理解したうえで設計された商品やサービスが、無理なく選ばれる状態こそが、ドラッカーのいう理想的なマーケティングの姿である。
一言でまとめると
ドラッカーのマーケティングとは、
「顧客にとっての価値を、事業全体でつくること」
である。

